仕事の出張などで地方都市に行くと、ブックオフに入るようにしている。もちろん他に古書店があればそこにも入る。
「古書は生もの」が私の持論で、出会ったその場で買わなくては二度と買えないことになる可能性があると考えている。だから、旅先のブックオフで思いがけず意中の本に出会えば迷いなく買う。岩田慶治『自分からの自由』(講談社現代新書、1988年)などはその一つで、たしか高知県のブックオフで遭遇してびっくりし、すぐに買った。トリュフォーの『底本 映画術 ヒッチコック』(山田宏一・蓮實重彦訳、晶文社、1981年)などもそう。
先日は大阪のある街のブックオフで大江健三郎『人生の親戚』(新潮文庫、1994年)を見つけて買った。バルザック『村の司祭』への言及がある小説として意中にあり、図書館で借りるよりは買いたいと思っていた。しかし不思議なことに、地元のブックオフにはなかったのだ。
どうしても急ぎで欲しい本はアマゾンで買うが、ブックオフをはじめ古書店では、日々の生活の中で急がず気楽に探している本に出会うのを楽しみにしている。