杉本純のブログ

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今村昌平の精神

日本映画大学ホームページの「建学の理念と精神」は、学校の理念について今村昌平の言葉を掲げている。

http://www.eiga.ac.jp/about/mission.html

私は大学の前身である「日本映画学校」の卒業生だが、この言葉は私が学校に行っていた時にはすでにあった。

この言葉について、一年生の時のゼミ担任は「プリントアウトして机の前の壁に貼っておけ」と言っていた。「ああいう言葉は、なかなか言えないもんだ」と。

その時は何とも思わなかったが、映画をやり、文学をやり、四十歳を目前に控えた今に至って、この言葉の大切さがわかる、というか、映画や文学をやるならこの言葉を忘れちゃいかん、という思いがする。

私が学んだのは映像科で、その一年次のカリキュラムには「人間研究」というのがあった。今もあるかも知れない。ゼミ担任は映画学校三年間では人間研究だけやってればいい、と暴言を吐いていたが、今考えると、たしかにむやみにフィルムを回すより人間研究をやっていた方がためになったとも思う。

誰から聞いたか忘れたが、今村さんは、例えばある村を題材に企画を考える時、調査研究するにあたってスタッフに「村を鷲づかみにしろ」と言っていたそうだ。系図、人脈はもちろん表の事情も裏の事情も何もかも知れ、ということだと思う。

「調べて書く」の根幹に、今村さんの精神を持ち続けていたいと思う。