杉本純のブログ

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創作雑記28 「書けない」

日本映画学校では実習制作を多く体験しました。制作の際、学生たちはそれぞれシナリオを書いてゼミ内で回し読みをし、映画化したい作品を投票形式で決めていました。

中にはシナリオを出さない学生がいて、ゼミ講師が理由を問うと、多くの学生が「書けない」と答えていました。すると講師は呆れて、「何が書けないだ! そんなのは大作家先生だけが口にしていい言葉だ!」などと言って笑っていました。

大作家がスランプに陥ることはあると思いますが、では素人がスランプに陥ることはないのかというと、事実としてはあるでしょう。まあ、素人である学生にはスランプに陥っている暇などない、書いて書いて書きまくれ、と講師は言いたかったに違いありません。

書いて書いて書きまくるのは実際、楽ではなく、私も机に齧りついて原稿に向かったものの何も浮かんでこなかった経験は多くありました。書くためには、その前段階として内容を考え、創ることが求められるのですが、それは自分一人で行わなくてはならない、孤独で地味な作業です。それが辛いのです。しかしそれをやらなくては書けないのです。