杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

バルザック作品の訳者・水野亮

水野亮(みずの・あきら、1902-1979)は、バルザックの小説の翻訳などを行ったフランス文学者、翻訳家である。

私はバルザックの小説が好きで、それを読むのがライフワークの一つになっている。東京創元社の「バルザック全集」は地元の図書館にあるが、通勤時間などに読むのに難儀する判型であるため主に文庫の古書を買って読んでいる。

バルザックの訳者は複数いるが、私が特に読み応えがあると感じるのが水野亮である。岩波文庫バルザック作品は、多くが絶版になっているのだが大半が水野訳で、訳者解説もとても面白く、やがて私は水野にも興味を持つに至った。

ウィキペディアの水野のページを見ると、水野のごく簡単な経歴が載っている。中に豊島与志雄が訳した『レ・ミゼラブル』の誤訳と脱漏を指摘した、とある。この辺りは、私は読んでいて「おや?」っと思ったのだが、そのことはまた別個にこのブログに書こうと思う。

水野に関する論文類はサイニィで検索するとけっこう出てくる。以下は水野著、他人が水野のことを書いたものとの両方。
・「バルザックと鴎外」(「心」1950年10月号 P.22-35)
・「バルザック二月革命」(中央大学文学部紀要、1954年12月)
・「三十余年前」(文庫(岩波書店)、1956年10月)
・「バルザック巡礼」(中央大学文学部紀要、1965年5月)
・「思い出」(仏語仏文学研究、1973年2月 P.101-113)
・「水野亮教授略年譜〔含著作〕」(仏語仏文学研究(「思い出」)、1973年2月 P.115-116)
・「バルザック二月革命(承前)」(中央大学文学部紀要、1973年3月 P.129-145)
・「水野亮教授書誌」(中央大学文学部紀要、1973年3月 P. 36)

「仏語仏文学研究」という冊子は東大と中央大から同じ誌名のものが出ており、両者の関係はネットで調べた限りではよくわからない。ただし東大の方は1987年に創刊されたもので、ここのは中央大の仏語仏文学研究会が出したものだ。水野は仏語の専任講師として中央大で教えていた。

私は仏語が一切できないのだが、もっと水野のことが知りたいと思っている。

武蔵大図書館に「水野文庫」という水野の蔵書を遺贈したスペース?がある。