杉本純のブログ

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北方謙三と純文学

北方謙三先生が集英社文庫でついに100冊目の本を出したのを朝日新聞の広告で知った。
100冊目は「岳飛伝」の完結巻である。ネットで「北方謙三 100冊」で検索すると、Kindleの本が引っ掛かった。

中身は読んでいないが、この無料電子書籍には全100冊の目録もついているらしい。第一冊目は恐らく『逃がれの街』だ。

北方先生の集英社文庫ではエッセイ集『第二誕生日』が好きだ。ちなみにハードボイルドデビュー作『弔鐘はるかなり』は、元は「第二誕生日」というタイトルだったのを改題して出したものであるらしい。
『第二誕生日』の冒頭には、純文学からハードボイルドに転向する心理的経緯が書かれており、作家ワナビにはかなりの共感と辛さがあると思う。ちなみにこのエピソードは、本書以外でも他でも多くのところで語られている。

北方先生は、自分は純文学には向いていない、と自分を納得させるまで一年もかかったと言う。
私は純文学は一種の病いであると思っているが、取り憑かれたように打ち込み、青春を捧げたものを、そう短期間で捨てられるものじゃない。