杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

蔵書始末記番外篇 大川隆法の本

買取価格は50円

この年末は蔵書の大規模な整理をしていて、手放すと決めた本に関する思い出を「蔵書始末記」として不定期連載しています。

手放す本は売ったり、廃棄したりしているのですが、そんな中で、もう十年以上前、古本屋に持ち込んだ書籍のことを思い出したので、番外篇として書き残しておこうと思います。

私は学生時代に小田急線の新百合ヶ丘駅近くに住んでいました。新百合ヶ丘は周辺にペデストリアンデッキと商業ビルがある、当時比較的新しい街でしたが、隣駅の百合ヶ丘はURの古い賃貸住宅が並ぶ住宅地へとつながっており、駅前には昔ながらの商店街がありました。ちなみに、1961年の東宝映画『喜劇 駅前団地』は、この百合ヶ丘駅が舞台です。

さて、当時学生だった私は新百合ヶ丘駅を通った時、駅前の広場で通行人に何かを配っている人に遭遇。駅前では毎日のようにティッシュやチラシを配る人がいましたが、その人が配っていたのはなんと本でした。大川隆法の、なんとかの法、といったタイトルでしたが、ティッシュやチラシのように本がただで配られるなんてすごいな、と思ったものです。

とはいえ、幸福の科学はもちろん、宗教全般にもほぼ興味がなかった当時の私は、もちろんそんな本がほしいはずがありません。差し出されたので仕方なく受け取った時、隣の百合ヶ丘に古本屋があるからあそこに売ってしまおう、と思いました。新刊本だから高く売れるかも知れないと考え、ラッキーだとさえ思ったものでした。

その足で百合ヶ丘駅まで歩き、商店街にあった古本屋に入って店主に本を見せました。すると店主は「あなたは大川隆法の本なんか読んでいるのか」と驚き呆れた表情を見せたと記憶しています。私はその本になんの興味もなく、当然1ページも読まずに持ち込んだので恥ずかしい気持ちになったものです。買い取ってくれなそうな気配がありましたが、店主は呆れた挙げ句、その本を50円で買い取ってくれて、こんな本など読まずにうちに置いてある本を読んでほしい、などと言っていました。その古本屋は私にとって、神保町の本屋並みに利用する店になりました。

いま振り返ると恥ずかしい思い出ですが、まあ愚かな学生だったということですね。