豊作・豊産祈願として
1月8日から16日まで、板橋区立郷土資料館で古民家年中行事「マユダマ飾り」が展示されました。この展示は古民家の恒例企画で、このブログでは昨年も訪問記事を書きました。
「マユダマ飾り」とは、農村で小正月(1月15日)に行われる予祝行事の一つで、農産物の豊作祈願や、養蚕と関わりのある地域では繭の豊産祈願してマユダマを飾ります。
多くの場合、1月14日にケヤキやヤナギを切ってきて、餅や米粉でつくった団子を付けて飾り、16日には外して粥などに入れて食べるとのこと。それが病気や悪気除けになるらしいです。
絶えた民俗を伝える場所
この「マユダマ」、板橋区内の農村部では「メエダマ」と呼ばれるらしく、米粉で団子を作り、ケヤキの枝にキンカンと一緒に付けて神棚などに飾っていた家もあったそうな。昭和初期頃までは行われていたそうなので、今はもう郷土資料館でしか見られないのだと思います。ちなみに今回の展示はケヤキの枝を使ったそうなので、昨年と同じですね。
「マユダマ飾り」は古民家である旧田中家住宅の土間に展示され、資料館入り口にも展示されていました。古民家の入り口には「板橋区立民俗館」という札があります。郷土資料館がこの地域の民俗を伝える施設だということです。「マユダマ飾り」が今ではもう行われていないということは、板橋地域の民俗が今はもう絶えていることを意味します。文明の在り方が変わってきているということで、少し残念な気もしますが、こういう場所で見られるのはありがたいと思います。
郷土資料館のスタッフたちは今日、マユダマを外して食べるんでしょうか。