板橋区立郷土資料館で2月20日から開催している古民家年中行事・ヒナマツリを見た。
3月3日の雛祭りに合わせる形で、郷土資料館奥の旧田中家住宅にて、幕末・明治期の内裏雛や昭和時代の段飾りを中心に展示している。
雛祭りは女の子の成長を祝い、幸せを願う行事だが、内裏雛はもちろん、雛人形全体が技術と意匠を凝らした一つの工芸品である。また、時代によって男雛と女雛の置く位置が異なるなど、形式が違っている。古式の飾り方では男雛が向かって右、女雛が左だが、現代では男雛が向かって左。しかし、伝統を重んじる京都では今でも古式どおりに飾ることが多いらしい。どうしてもともと男雛は向かって右なのかというと、「天子は南面する」という東洋の思想からきているそうだ。男は「陽」を表すので、南を向いた時に太陽が出る東側、つまり向かって右側になる。太陽が沈む西側、つまり向かって左を「陰」として女性を表している。これが逆になったのは、大正天皇皇后が西洋の習慣に従って並んで立って以来のことらしい。どうして西洋では男が右(向かって左)かというと、右手に剣を持って左手で女性を守るからであるとのこと。知識が増えると、見どころも増えて面白い。
開催は4月4日(日)まで。