青木雄二『ナニワ金融道』を読み返している。世の中は人がお金を血と汗で回していて、その人間は欲にまみれた本能的な生き物であることがよく分かる。いや、そういう人間ばかりを描いているのだ。
運送屋の社長が新車を買うために400万円を帝国金融から借り、しかし返さないまま行方をくらましてしまい、保証人になった男がケツを拭く、という話がある。だが、背口というその男がケガをしてしまい、最終的にはその彼女がソープに送り込まれる、という残酷な内容である。
主人公の灰原は、独立して休むことなく働き続ける真面目な背口と話し、この人なら大丈夫、と思って保証人になってもらおうと、帰社して先輩の桑田に背口の働きぶりを伝える。
灰原 保証人は全速力で走りつづけている感じでした
桑田 全速力ゆうてトップギアはローと違って馬力はないで
桑田の言葉は何気ないものだが、なるほどなぁと思った。考えてみれば普通のことだが、頑張ってバリバリ働いている人を見ると、多くの人は灰原のように感心して高く評価してしまうだろう。稼ぐ力は、勢いがあればいいというものではなく、爆発力はなくても安定的であることが大事なんだと思う。