杉本純のブログ

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佐伯一麦のインタビュー記事

集英社の「すばる」1991年6月号の「すばる今(imagine)人」に佐伯一麦のインタビュー記事が載っている。デビュー七年後になる佐伯の簡単な紹介記事だが、花園敏というライターは東京から当時佐伯が住んでいた茨城まで行ったようだ。ちなみに佐伯が当時住んでいたのは古河市で、その辺の事情は長篇『渡良瀬』に反映されている。

記事を読むと、佐伯はラーメン屋でライターを迎え、会うなりビールを差し出したようだ。この花園というライター、かなり表面的なことばかり聞いたようだが、『木を接ぐ』が毛筆で書かれたことについて、佐伯が奇を衒ってそうしたのではないことをきちんと聞き出している(書いている)。けれども上京の事情については書かれておらず、もしかしたら聞きもしなかったのかも知れない。

 一九五九年生まれというから、前号のこの欄に登場した、いとうせいこうとはほぼ同世代である。しかし、物腰、雰囲気がまるで違う。いとうが饒舌な都会派なら、さて、佐伯一麦はどう表現すればいいだろうか。

プロフィールにはそのように書かれているのだが、どうも相手が悪かったというか、上手く捉えられない相手だったのかも知れない。

記事には佐伯の写真も添えられていて、撮影は中野義樹という人だが、恐らく工場で撮影したのだろう。佐伯は笑いもせず静かにカメラを見ているが、いい写真だなと思った。