杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

仁術と算術と。

「医は仁術」という言葉があり、それをもじった「医は算術」という言葉もある。

「仁術」の方は、医は人を救う尊い仕事である、という意味で、「算術」の方は、高度な医療を実践するには金が必要だ、という意味からそんな風に使われているようだ。医の本質はどっちなんだ、という問題は近年でも議論の対象になっているようでもある。

しかし、それはべつに医者とか医療に限らずあらゆる仕事について言えることなんじゃないかな。

どんな仕事も、本質を突き詰めれば人の役に立ち、ひいては社会の役に立つ尊い仕事と言い得るだろう。とはいえ、その仕事に従事する人間は無報酬ではやっていけないわけで、労働に対価があるのは当たり前、こっちだって仕事の本質に違いない。もちろん、だからといって儲けることばかり考える人だったら、批判を受けることもあるだろう。

仁と算。この二つの本質はしばしば相反するのかも知れないが、現実に共存しているわけで、どちらに偏り過ぎてもよろしくない。両方のバランスが上手く取れていることが大切なんじゃないか。

こういう、精神面での本質と現実面での本質のバランスをうまく取ってやっていかなくてはならないのは、割と色んな仕事に当てはまる気がする。

理想を追い求めれば自分を追い詰めることになるし、自分の利ばかり追求していては孤立無援になるのだろう。

理想とか大義のない仕事はやっても意味がないが、かといってきちんと稼げる仕組みができていないと存続できない。両方が必要だと思う。