お客さんにせよ同僚にせよ、仕事で大事なのは相手にきちんと価値提供することで、愛情を注ぐことでは必ずしもない。お客さんに愛情を持って接するのはすばらしいことで、そうするに越したことはないが、いくら相手に愛情を持っていてもミスをするのは良くない。逆に、愛情を持っていなくてもミスをしなければ良い。それは、まあ当然だろう。
しかし、仕事相手(特にお客さん)には愛情を持たなくては駄目だ、という人がたまにいる。それは、その人の心掛けとしては悪くないと思う。ところが、そういう人を冷静に見続けていると、単に好きな客にだけ愛情を注いでいるだけで、好きでもない客の場合はかなり杜撰な仕事をしていることが少なくない。こういうのはどうかと思う。
愛情を持たなくては駄目だ、という人は往々にして理非がない。私の知るある人は、ニュースになるくらいの大事件を起こした顧客企業のことを、その会社は正しいのだ、という風に言っていた。たしかにその会社は必要以上に悪く言われていた面はあるだろうから、その人が愛情ゆえに擁護したくなるのは理解できる。しかし、その企業に批判されるべき点があったのは歴然たる事実なのだ。私は、いくら愛情があってもその点を看過することはできない。
愛情を持つのは大切。けれども愛情によって理非がなくなるのは好きじゃない。