杉本純のブログ

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日記の面白さ

新潮文庫山崎豊子読本』には「山崎豊子「戦時下の日記」」という章がある。私は特に日記を読むのが好きなわけではなかったが、これを読んでみて改めて日記の面白さを感じている。

「戦時下の日記」は文字通り第二次大戦中の山崎が、いつ空襲が来るとも分からない状況下で日常を過ごす中で綴ったもので、人間というのはいかに深刻な状況が続いていても、映画を観て笑ったり、近しい人でも嫌ったり、恋をしたりもするのだということを確認させてくれる。

しかし驚かされるのは、この日記を書いた時に山崎は20か21歳くらいだったということで、その語彙力が豊富なこと、文章にまったく隙がなく巧みなことなどだ。私は20歳の頃から日記を書いていたが、もっと取り留めのない、抽象的な思弁を弄していた。その差には歴然たるものがある。。