杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

「失敗は宝」

たしか小学二年の時だったと思う。担任の先生が教室の壁に掲げていた学級訓が「失敗は宝」だった。その言わんとするところは、子供心にも何となく理解できた。

きっと、失敗してもいい、そこから学んで成功につなげよう、といったメッセージだったと思う。

ところで、以前ある後輩ライターが、ライターの道に蹉跌してしまった。人づてに聞いたところ、本人はどうやらいくつかの失敗によって、自分はライターに向いていないと思うようになったとのことである。しかし私は、そのライターが、ある将来の目的があって、それを達成するためのステップとしてライターの仕事を選んだ、ということを聞いていた。だから、勿体ないなぁ、そんなの気にしなくていいのにと思った。

とはいえ、失敗の一つや二つで挫けてしまうようでは、将来の目的などとうてい達成できないだろうとも思った。

失敗なしでやっていくなんて不可能だろう。世の中のサクセスストーリーの後ろには、間違いなく、夥しい量の失敗が蓄積されている。

生意気ながら私自身、ライターの仕事は失敗だらけである。目も当てられないほどの惨敗、というのではないけれど、大部分が上手くいったとしても、小さなミスリーディング、構成の不全、あるいは恥ずかしい誤字脱字などがある。不思議なことに、同じ失敗はしないのだが、失敗そのものは起こり続けるのである。

だから、失敗なんてありふれているんだから気にするな、というのではなく、失敗を重ねることで相対的に失敗が減っていき、時に成功できるのだと思う。「失敗は宝」。前進する大きな糧だと思う。