関沢英彦『いまどきネットだけじゃ、隣と同じ!「調べる力」』(明日香出版社、2010年)という本を図書館で見かけて、面白そうだったので借りて読んだ。
内容は、情報が洪水のように溢れている現代社会においていかに信頼できる目的の情報に辿り着くかが書かれた、わりとライトなハウツー本といった感じ。
ぱらぱら読んだのだが、中で共感したのが「日頃、調べているほど、調べる時間は短くなり、ラクになる。」という一節だ(ちょっと日本語の使い方が気になるが…)。
関沢によると、最近の学生は新聞を読まないようで、企業の中には内定を出した学生に新聞購読料の補助を渡して勉強するように言うところがある、という(!)。
さて、ある学生は、内定した企業の人事部に記事の感想をレポートにして提出しているらしい。しかしその学生は経済に関するベースの知識がないので、レポートを書くのに三時間もかかってしまった、とある。
関沢は、少しずつでもベースの知識を理解すれば後から調べることが減る、調べ物を習慣化しているといざという時に強い、と述べる。そのためには関心領域を広げ、新聞を読むことだ、と。
その通りだと思った。例えば私は、自分の得意な業界の記事を取材して書く時、そこそこベースの知識があるのでインタビューで相手の話していることが分からないということがあまりないし、色んな角度から質問することもできる。また原稿を書く時もスムーズに行くし、相手が話した言葉よりも分かりやすいフレーズを持ってきて記述することもできる。こういうのをベースの知識がないままいきなりやろうとすると、いちいち調べなくてはならないのでかなり時間がかかってしまう。
原稿が早いライターはたくさんいるが、恐らくその大半は、普段から調べ物をしていて、知識を入れることに時間を使っているのだろう。だからトータルで考えると、原稿の遅いライターよりも多くの時間を使っていると言える。決して特殊な技術を使っているわけではないのだ。
調べ物は日ごろからするべき。