杉本純のブログ

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増上慢と卑下慢

ある雑誌の座談会の記事で「卑下慢」という言葉を見かけた。増上慢という言葉は知っていたがこれは知らなかったので字引で調べた。自分の頭の低さに対し抱く慢心のことであるらしい。「謙遜」とは違い、「卑下も自慢の中(うち)」ということわざもある。

私は人から褒められるのが好きではなく、褒められるとよく「まぐれですよ」だの「運が良かっただけです」だのと言って相対化していた。それには理由があって、心の内では慢心があるのだが「これが俺の実力です」だの「まあ今回はまあまあでしたね」だのと言うと相手から増上慢だと思われるから嫌だったのである。しかし「まぐれです」とへりくだってみたところで、結局は慢心があった。「卑下も自慢の中」、つまり卑下慢そのものである。

そう考えたら、周りにも卑下慢をしている人がいるのを思い出した。「私なんてまだまだです」「私バカですから」などと言うものの、本当はダメともバカとも思っておらず、謙虚な自分を見せて悦に入っているのである。

自分の実力は、とくべつ高く見せる必要も低く見せる必要もない。感情を素直に表し、思うところは正直に言えば良いのだと思った。