従来のシステムが完成していた?
9月18日に放送されたNHKスペシャル「“中流危機”を越えて「第1回 企業依存を抜け出せるか」」は、いろいろと考えさせられる内容でした。
日本は世帯所得の中央値がこの四半世紀で約130万円減少し、所得中間層(中流)の人々が今、危機を迎えている。年功賃金や終身雇用といった、社員の人生を企業が丸抱えする雇用慣行が限界に達し、賃金の低下が消費の減退を招き、さらに賃金を減らしているという負のスパイラルを引き起こしている、という内容。
考えさせられたというのは、自分はこういう問題の存在を認識し、誰もが企業依存からの脱却を図るべきで、かつ実際にさまざまな行動をしている人を複数知っていたので、この番組に出ていた中流サラリーマンは意識が低いのではないかと感じたものの、副業や復業をしても「中流」という大きな層の一員であることは変わらず、その危機的な流れから本当に脱け出るにはもっと力を注がなくてはならない、と感じたことです。
また、グローバル化やIT化の波に乗り遅れた日本企業の多くは、社員の給料を調整することで雇用を守ったものの、その結果が中流の危機という姿で現れている、という解説者の言葉が印象的でした。それはただの怠慢ではなく、従来の「企業依存システム」があまりに完成されていたからこそ、時代の変化に合わせて転換することが容易ではなかった、ということではないか、と思いました。