杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

トラップ、パス、ドリブル

コミュニケーションの科学

吉田尚記『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版、2015年)は、他人とのコミュニケーションをゲームと捉え、「気まずさ」という敵を倒すための様々な技術を紹介する本。

その中に会話の技術を説いているところがあります。相手の話を受け止める、質問をする、回答や感想で自分の話をする、という会話の三つの要素を、トラップ、パス、ドリブルというサッカーの用語で説明していて、分かりやすいです。

私は他人との会話が得意ではなく、などと会話が終わった後に、うまく自分の考えが話せなかった、喋り過ぎた、などと後悔することが少なくありません。それこそ「気まずい」空気になることは多いと感じています。よしこんどこそはあの人と上手く話そうと思い、話題を探したり、色んな角度から質問してみたりして、まあまあうまくいったものの終わった後はぐったりする、などということも珍しくない。

以前ようつべのビジネス動画で、雑談は難しい、と某社の社長が話していたのを見ましたが、たしかにそうだと思います。

この本の面白いところは、会話などのコミュニケーションをゲームと捉えているところです。だからトラップ、パス、ドリブルも技術として語られている。上手くいく時があればそうでない時があり、練習も必要なのでしょう。そしていくら練習して上手くなったとしても、失敗とは無縁になれません。しかし、失敗を重ねることで失敗を減らせる確率が上がっていき、成功が増えていくのでしょう。