杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

『航空写真集 新河岸川』

新河岸川についてあれこれとライフワーク的に調べているが、その過程で面白い本を見つけた。その名も『航空写真集 新河岸川』(建設省関東地方建設局 荒川下流工事事務所、1982年)。

B4サイズくらいの大型本で、ページ数は120に満たないが、ひたすら新河岸川とその流域の航空写真が掲載されている。当時の荒川下流工事事務所長の井上喬之による「発刊にあたって」以外は本文はおろかコラムすらない。ある意味で資料写真集として徹底していると感じる。すごい。

「発刊にあたって」を読むと、この写真集の作成目的が分かる。東京の北西部を流れる都市河川である新河岸川の流域は、都市化の開発の波にさらされ、治水の安全度が低下。総合的な治水対策を講じる必要が生じ、その参考として流域の現状を把握するために、本書が作成された。

表紙裏の見返しには「宗岡里 内川」などと書かれた古い絵が見開き全体に掲載されている。「江戸名所図会」に載っている新河岸川の絵と思われる。新河岸川は荒川の内側を流れるから「内川」と呼ばれたそうな。

新河岸川の様々な表情というか、その流域に広がる産業とか自然の様子が窺え、さながら新河岸川百面相といった様相を呈している。