杉本純のブログ

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家族から理解されない男のロマン

「亭主の好きな赤烏帽子」という言葉を最近知った。一家の主人が好んでやっているなら家族はそれに同調しなくてはならないという意味で、他人から笑われようと好きにやらせておくべきだ、といったニュアンスもあるらしい。

この言葉は、四十路に差し掛かろうとしているのに小説を書くだの、本を出すだの言っている男の妻子にぴったりな言葉ではないだろうかと思う。まぁ恐らく私も、そんな「男」の一人に入るだろう。

私の知人には、赤烏帽子を好んで被っている人はいないと思う。私より歳上の男で、映画監督になろうと今でも頑張っている人がいるが、その人には妻子はない。車道楽、釣り道楽などの人は普通にいるけれど、これらは赤烏帽子というほどのものではないと思う。

赤烏帽子を好む亭主は、家族から理解されない男のロマンを持っている人、と言い換えられるような気がする。人生思い通りになることはないが、だからと言ってロマンを諦めなくてはならないわけではない。きちんと生計を立てている上でやっているのなら何も問題はないだろう。逆に、本当は赤烏帽子が好きで被りたいのに、恥ずかしくて被れないでいる男の方が情けない奴だと私は思う。