杉本純のブログ

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腕を撫す

「うでをぶす」と読む。自分の腕前を十分に発揮できる機会を待つ、という意味。

最初に見たのは古い新聞のたしか経済面で、ある企業が画期的なシステムだか商品だかを開発して業界の中で一歩前に出たことに対し、競合他社の、同じようなシステム・商品を開発しているもののまだ完成せず市場で戦えない状態を指して「腕をぶす」と記していた。

こんな言葉があるのか、面白いなぁと思ったのだが、意味が面白いのではなく「をぶす」ってなんだ?という驚きだった。新聞の文章は紋切り型なので同じ言い回しを頻繁に見かけるが、私は新聞を長年読み続けているものの「腕をぶす」は初めてだった。

新聞記者の語彙力は、年とともに落ちているのかも知れない。司馬遼太郎が新聞記者だった頃は、さぞかし豊富な語彙を駆使して記事を書いていたんだろう、などと想像したりする。