杉本純のブログ

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行動力

朝日新聞11月5日朝刊に、第18回ショパン国際ピアノコンクールの記事が載っていた。

オンラインが日常化したコロナ禍の世の中でコンクールはエンタメとして提供され、権威を基礎にしてきた旧来の音楽ビジネスの在り方にも一石を投じた、とのこと。

実際にショパン国際ピアノコンクールをリアルタイムで見たわけではないので実感はないが、ネット、なかんづくユーチューブが藝能全般に大きな影響を与えているのは、日頃から感じるところ。

新聞の記事では、日本の音楽業界は、権威の先生に教わり、いい音大を出て、コンクールを受けたり留学したりした人を受け入れてきたが、そういうある種のシステムが、そうではないキャリアを歩む人たちの登場によって突き崩されている、というコメントが載っていた。

記事ではコンクール2位の反田恭平と、第3次予選まで進んだ角野隼斗の活動を引き合いに出していた。二人ともすでに独自の活動をかなり展開していて、ショパンで1位ではなかったがこれからも自らの音楽世界を追求し、発信していくんだろうと思った。ショパンに限らず、コンクールで入賞することはキャリアを切り開く上で大切だと思うが、行動力もそれと同じくらいに大切なんじゃないだろうか。そんな風に感じた。

小説だってネット発信がかなり増えていると思う。文藝誌の新人賞を取り、雑誌に作品を載せることが王道なのだろうが、KDPやブログに書いて発信し、SNSと連携させ、ユーチューブでの読者獲得も行う…といった、作家による直販とセルフプロデュースがネットによってできるようになっている。

作品が面白いことが最も大切だろうが、いかに面白くても読者に届かなければ意味はない。ひと昔前はそれが出版社の新人賞を取ってデビューする、という「狭き門」だった。しかし今は誰もが直接世に問う手段を獲得できるようになったのだ。まあ、考えてみるとそれは今に始まったことじゃなく、ずっと昔からそうだった気もするが。