杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

心理的自叙伝

私的な話題になるが、1979年に名古屋市ベッドタウンに生まれた私は、幼少期に慣れ親しんだ文化の大半を抛棄してしまったように思う。

それは、週刊少年ジャンプの漫画や、テレビゲームである。漫画もゲームも、バイオレンスアクションを扱ったものが中心で、幼い私は周囲の友人知人と共に熱中した。映画や小説にも触れていたが、漫画やゲームほどではなかった。

抛棄する最大の原因となったのは、恐らく両親の影響である。趣味人であり歴史も好きだった両親は、漫画やゲームは買ってくれなかった。だから私は漫画は小遣いで買い、ゲームは友達の家でやらせてもらったものだ。

父親は漫画も読んだが、やはり歴史に関するものを好んで読み、私が読んでいたような奇想天外なアクションなどには親しまなかったと思う。

青年期に入ると、私は漫画やゲームを断ち切った。どうして断ち切ったかというと、端的には興味が失せてしまったのである。しかし、そこには両親の影響もなくはなかったと感じる。ただし漫画の方は捨てきれず、今でもごく少数の少年漫画を細々と読み続けている。

そして映画や文学の方へ傾いていくのだが、古典的なものや歴史を語るもの、広くリアリズムに属するものを中心に多く吸収するようになっていったと思う。これも多分、両親の影響である。そして、これは言うなれば、幼少期に吸収した文化をいったん抛棄し、新たに構築し直そうとする動きだったと思う。しかしその頃から私は実家を出て一人暮らしを始めたので、それは孤独な営みになっている。今も変わらない。

以上はごくおおざっぱな心理的自叙伝なのだが、抛棄しただけでなく否定もしたところが重要であり、同じような経験を持つ人は少なくないように思う。