杉本純のブログ

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意気阻喪の三十代四十代

以前、「昭和ノスタルジー」という記事をブログに載せたが、長時間労働を厭わず、その価値観にどっぷり浸かり、今でもそれを肯定している「昭和ノスタルジーな人」は実際にいるようだ。私はそういう人に批判的な感情を持っているし、そんなんじゃこの先やっていけないぞとも思う。

しかし一方で、こうも思う。長時間労働が好きで好きでたまらない人は、その価値観が通用しなくなりつつある現在、相当に意気阻喪しているんだろうな、ということだ。

例えが極端だが、江戸時代まで特権を有していた武士は、それが失われた新しい明治の世を歓迎せずふて腐れていただろう。なかんづく、武士としては若くてバリバリやっていた人が急に明治になったら…面白くないに決まっている。

現在、三十代四十代の人は、恐らく二十代に仕事のやり方を吸収しただろう。当時は「働き方改革」などとは言われておらず、長時間労働によって成果を出すことが当たり前。その価値観を今も持ち続けている人は少なくないと思う。それが、長時間労働を是としない潮流が押し寄せてきたのだ。それを十分に受け止めきれず、不本意ながら従わざるを得ない状態になってしまった人はかなりいるんじゃないだろうか。現役としてこれからもバリバリやっていかなきゃならない時期に状況が変わってしまって、意気阻喪している三十代四十代はかなりいると思う。

べつにそういう人に共感しているわけじゃないが、長時間労働ばかりやって、それに夢中になり、すっかり当たり前になっていた人は、今の働き方はきっと受け入れがたいんだろうなと頭では理解できる。しかし、そんな時代でも、生きていかなきゃいけないのだ。