杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

ダウンロードとインストール

記事作成における取材と執筆について、私は「ダウンロード」と「インストール」という概念を使って考えることがある。

私の考えでは、調査や取材によって情報を取得する作業はダウンロードであり、それを頭の中に叩き込み、記事を執筆できる状態にするのがインストールである。

つまり、ダウンロードは単に素材を手元に持ってくるだけである。要するに、調査して知った、あるいは取材して分かった、という状態に過ぎない。この段階では、記事を書くライターの頭にはまだ「文章」あるいは「文脈」ができていない。文脈を作るには、ひととおり揃えた情報を頭に入れ、頭の中で整理し、さらに順番をつけなくてはならない。これがインストールである。インストールが済むと、素材は頭の中から流れ始め、指先から溢れ出て文章となって姿を現す。

取材した後すぐに執筆に入っても上手いこと文章が書き進められないことがある。それはだから、ダウンロードはできたけどインストールができていないのだと思う。私はそういう現象に頭を悩まされたことが何度もある。そんな時は、面倒だがいったん書き進めるのを止め、落ち着いて頭の中で情報を整理する。

ダウンロードとインストールは、双方ともインプットの過程に入るだろう。ダウンロードはどちらかというと作業的な行為で、行動を必要とするもののさほど創造的ではない。これに対し、インストールはインプットの総仕上げのようなもので、ここでは集中して文脈を創造しなくてはならない。とはいえ、しばしば文脈が簡単にできてしまうこともある。

アウトプットは執筆である。これは、きちんとインプットができていれば、ほんのいっときで済んでしまうはずである。