川島雄三監督『幕末太陽傳』(1957年)を観た。この作品の共同脚本と助監督を務めているのが今村昌平。
川島の代表作と言われ、やたらと評判が良くてたびたび再上映されているらしい。私の映画学校の先輩はこれを傑作だと言っていたが、落語をベースにしたドタバタ人情喜劇といった感じで、テンポが速くてそれなりに面白かったがそれ以上のものは感じられなかった。
ベースになっている落語は「居残り佐平次」で、他に「芝浜の革財布」と「品川心中」などのネタを取り入れているようだが、恥ずかしながら私はそれらの演目を聴いたことがない。
さてこの映画の冒頭には「製作再開三周年記念映画」という字幕が出る。日活は製作再開にあたり監督部門を松竹から引き抜いてきたらしく、その移籍組にいたのが川島や今村さんだったとのこと。先輩はこの字幕について、こういうギャグを飛ばすくらい当時の日活はノッていた、みたいに言っていた。たしかに映画全体からすごいエネルギーが感じられた。