スティーヴン・キング『書くことについて』(小学館文庫、2013年)にこう書いてある。
作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない。
本書を読む前からそう思い、ずっと継続してきたつもりではあったが、小説を書く日々を送る中では、特に「たくさん書く」の方をちゃんとやらないと駄目だ、という気がしている。
映画学校でも、教わった現役の監督は「映画ってのは撮れば撮るほと巧くなるんだ」といったことを言っていた。たしかにそうだと思うけれど、映画は俳優やスタッフを入れて本格的なものを作る場合、それなりのお金と時間が必要なので、撮れば撮るほど、なんていう経験ができない人がいるだろうと思う。ただし、自分一人でカメラを回してイメージを掴む、なんてことは今の時代、いくらでもできるだろう。
キングは続いて、自分は年間70から80冊を読み、大半が小説だと言い、読めば何か得られるものがある、として、
概して優れた作品より、出来の悪い作品からのほうが教わるものは多い。
と書く。私もそう多読ではないが、とにかく名作とか調べ物をする上で必要と思われる興味深い作品ばかり手に取る傾向があったので、これは反省するべきだと思った。