今、小説の執筆に取り組んでいるのだが、会社勤めをしながら毎日書くのは楽じゃない。。
公私ともに、それなりにやることがあって忙しいし、正直に言って、それだけでけっこうくたくたになる。二十代の頃は徹夜ばっかりしていたので遅くまで起きて忍耐強く取り組むのには慣れているが、小説は忍耐すれば書けるというのもでもないので難しい。
毎日原稿に向かっていれば、小説の世界は手元にある感じだが、一日サボると、すでにい小さくなるくらいまで遠ざかっている気がするし、二日サボればとっくに見えなくなっている。三日サボれば、もう内容を忘れているほどになっている…そんな感覚に陥る。
オスカー・ワイルドはアンドレ・ジッドに、この世には二つの世界がある、一つは現実の世界でこれは話さなくても存在している、もう一つは藝術の世界でこれは話さなくてはならない、話さなくては存在しないのだから、と話したことを澁澤龍彦『快楽主義の哲学』(文春文庫、1996年)で知った。たしかにワイルドの言う通りで、絵でも音楽でも小説でも、創らなくてはその世界はこの世に存在しない。
だから、書かなくてはならない。私は書く。ただそれだけ。