元連合赤軍幹部の悔悟
NHKの「クローズアップ現代+」、2月24日は「50年目の独白~元連合赤軍幹部の償い~」でした。
私は連合赤軍のことは詳しくないですが、かつて学生運動をやっていた、今は80歳近い高齢者を何人か知っています。俺たちは日本を変えるために闘ったんだ、といった意味のない武勇伝を何度も聞かされたことがあり、今でも日本の政治はいかんだのなんだのと言われるので、うんざりしています。
まあそれは置いておくとして、今回の「クロ現」は、ある意味で興味深かったです。元連合赤軍幹部は今は当時の愚行を悔いており、反省して贖罪の日々を送っているという。改心したきっかけは、無期懲役が決まった裁判の裁判長の存在だったらしいです。判決文は700ページにも及んだそうですが、そこには、元幹部の誤りは、人としての感性を奪ったことであり、それを取り戻すための「黄金の橋」を渡り損ねたことだ、と書いてあったそうです。
私はこの「黄金の橋」という言葉が気になったので、ちょっと調べてみました。
フランツ・フォン・リストの言葉
ベトナムに2018年に黄金の橋ができたそうですが、ここでいう「黄金の橋」はそれとは違います。
日本の刑法では、犯罪に着手しながらも自らの意思で中止すると、その刑は減軽か免除されるそうで、犯罪を中止するその行為を「中止犯」というそうです。
刑の減免は、見方を変えれば国からの褒章ということになり、だから中止犯は「後戻りのための黄金の橋」を渡る、と言われるとのこと。上記の裁判長が書いた「黄金の橋」は、恐らくこれと同義でしょう。
面白い言葉だと思いますが、この言葉、フランツ・フォン・リストというドイツの刑法学者が言ったものであるらしい。地獄が暗黒の世界で、天国が黄金の世界だとしたら、犯罪の実行は暗黒への道であって、そこから黄金の世界に引き返すのが「黄金の橋」、ということなのでしょう。
元連合赤軍幹部がこの橋を渡り損ねたというのは、やってはならない犯罪を、やらずに済む機会があったにも関わらずやってしまった、ということではないかと思います。