杉本純のブログ

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映画『団地』を観た。

阪本順治監督の『団地』(2016年)を観た。

阪本監督が特典映像で、ビッグバンはどこで起きたのか、人は死んだ後にどこへ行くのか、の二つをテーマにした、と語っていたが、なんとも不思議な映画だった。私は団地で生まれ育ち今も団地に住んでいるけれど、この映画の不思議さは、団地という空間の不思議さと重なる気がした。それは、映画の中で岸部一徳の役が「殺されたのではないか」と噂が立ったことと、今の団地には孤独死の問題があって「もしかしたらあの人死んでるんじゃ」という疑いが生じやすいこととが、論理的ではないながら私の中でちょっと重なったからだと思う。「なんでもありえる」というのは言いえて妙だ、と感じてしまった。

映画の舞台は大阪近郊だが、撮影は足利市の「錦町団地」で行われたとのこと。私は四畳半のアパートで映画を撮影した経験があるので、団地の室内のシーンは狭いはずなのにどうやって撮ったんだろうと思った。しかし調べてみると、同市の栗田美術館の中にセットを建て込んで撮影したそうだ。