杉本純のブログ

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『市民ケーン』とロバート・ワイズ

シド・フィールド『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』(フィルムアート社、2009年)の最初の方にオーソン・ウェルズの『市民ケーン』について触れているところがある。

 この映画を編集したのは、巨匠ロバート・ワイズ(『ウエスト・サイド物語』、『サウンド・オブ・ミュージック』、『砲艦サンパブロ』などの監督)だった。ウェルズは、撮影したニュース映画部分が当時のフィルムに見えるように手を加えさせた。ワイズは、そのフィルムをよじって、編集室の床で引きずった。それによって、当時のニュース映画のような感じに仕上がったのである。

市民ケーン』は何回か観ていて、ニュース映画の箇所があったのは記憶しているが昔のニュース映画のような質感だったかどうかは覚えていない。だって『市民ケーン』にしてからが、すでに私にとって大昔の映画だったのだから…。

そういえばウィリアム・ワイラーの『ローマの休日』では最初にニュース映画の映像が出るが、昔の映画館では本編上映前にニュース映画が流れるので、その流れで自然に映画に入りアン王女のことが本物のニュースぽく見えるようにするためにそういう流れにした、とどこかで読んだ記憶がある(はっきり覚えていない)。

それにしても、『市民ケーン』の編集を『サウンド・オブ・ミュージック』のワイズがやっていたというのは知らなかった。