杉本純のブログ

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寺山修司の短歌

寺山修司の短歌はおおむね好きである。しかし、

麻薬中毒重婚浮浪不法所持サイコロ賭博われのブルース

この歌は、正直に言うと以前はしびれるものがあったが、今はそうでもない。

好きだったのは学生時代を含む二十代であり、その時代、私はワナビの痛さの中でなんとか作品を書こうともがいていた。その上で、無頼な生き方に少なからず憧れていたように思う。その思いが、上の短歌にしびれさせたのではないか。そんな風に感じている。

けっきょく私は麻薬中毒者にならず、重婚もせず、浮浪もせず、不法所持もせず、サイコロ賭博もせず、そういう哀感のある生き方?を一切することなく生きている。二十代の頃の無頼への思いは、実践を伴わない単なる憧れ、その切れっ端めいた感情に過ぎなかったのだと思う。

新しき仏壇買いに行きしまま行方不明のおとうとと鳥

これは今でも好き。