杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

朝の岩波文庫

想像は広がる…

通勤の電車を待つ駅のホームで、恐らく20歳前後と思われる男が本を読んでいました。若い人がスマホでなく本を読むことは、べつに珍しいことでもないですが、その人が読んでいたのが岩波文庫だったので、お!と思いました。ちなみにその本はワイルドの『童話集 幸福な王子 他八篇』(富士川義之訳、2020年)で、大学の勉強で必要があって読んでいたのか童話が好きなのか分かりませんが、その点にもちょっと驚いたものです。

私は書店でもらえる紙のカバーで読むことが多く、別売の読書用カバーは使ったことがありません。一方、車内で見る読書している人は、男女どちらも読書用カバーを使っていることが多いです。私は、読書用カバーを使っている人は、まだ経験が浅い趣味レベルの読書家ではないか、と勝手に想像していますが、カバーをせずに『幸福の王子』を読んでいた男は果たしてどんな人なのか…。

私は『幸福な王子』をたしか新潮文庫で読んだと記憶しています。他にも複数の出版社で日本語訳が出ているはずですが、朝の男は古典的価値を持つ作品が中心の岩波文庫を選んだわけです。なぜ?…あるいは、岩波以外の訳書にもすでに当たって比較している可能性もなくはありません。

…とまぁ、想像は広がります。たしかリュックを背負っていて、たぶん学生だと思います。今は冬休みではないかと思いますが、休みの間の課題に取り組む過程で『幸福な王子』を読んでいたともいえるでしょう。おそらくその辺りが妥当なところかと思います。