杉本純のブログ

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今村昌弘『屍人荘の殺人』

ページをめくらせる力

今村昌弘『屍人荘の殺人』(創元推理文庫、2019年)を読みました。

本作は第27回鮎川哲也賞受賞作(2017年)で、著者はこの作品でデビュー。評判が広がってベストセラーになり、「このミステリーがすごい!」2018年版国内編第1位、「週刊文春」ミステリーベスト10 2017年国内部門第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2018年版国内ランキング第1位、第18回本格ミステリ大賞受賞、と高い評価も獲得しています。さらに2019年には映画化もされたのだから、すごいですね。

「極限状況下で起きる連続密室殺人」というコピーが文庫の帯に載っていますが、主人公たちが来たペンションが多数のゾンビの襲来を受け、囲まれてしまったので逃げられなくなった状況下で連続殺人が起きる、という内容です。

かなり荒唐無稽な設定ですが、ゾンビウイルスの感染によるゾンビ化などが殺人トリックに関連しており、さらには主題にも影響しています。

あり得ない話ではありますが、ページをめくらせる力は強かったです。グロテスクなのは嫌いですが、映画もちょっと観てみたいですね。