杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

吉田尚記『没頭力』

人生のラスボス

吉田尚記『没頭力』(太田出版、2018年)を読みました。物事に没頭することで、「なんかつまらない」という状態を解決し、充実した人生を送ろう、という主旨です。そのための考え方やコツなどが紹介されています。

著者は「なんかつまらない」を「人生におけるラスボス」と書いており、そうか、そういうものかなぁ…と思いました。時間的に考えれば、老いとか、それに伴う脳や筋力の衰え、ひいてはが目前に迫ってくる死の恐怖がラスボスになるのでしょうけれど、なるほどそういう年齢になっても没頭によって充実していれば恐れる必要はなくなるのかもしれません。

それにしても、「人生のラスボス」。「退屈」が人類最強の敵だというのは聞いたことがあるし、「人生は壮大な暇つぶし」だと聞いたこともあります。たしかに「なんかつまらない」は、「暇」とか「退屈」に近いものがありますね。

スポンサーリンク

 

 

没頭が終わっても人生は続く

本書によると、ゲームは没頭の条件をかなり満たすもののようです。勉強、テスト、スポーツ、仕事…人生のあらゆる場面をゲームと捉えてみたら、死ぬまで没頭し続けられるのかもしれません。

ただし、同じゲームをずっとやっているとそのうちにスキルが限界に達し、退屈して没頭できなくなってしまうはずです。あらゆるゲームは極めるとイージーモードになる。

イージーモードになると、もう没頭はできず、「なんかつまらない」退屈なものになるでしょう。役不足なつまらないゲームでは、ダメなわけです。もっともそのことは、没頭の条件の一つ「自分の持っているスキルと行為のバランスが取れていること」として『没頭力』にも書いてあります。

一つのゲームが退屈になっても続くのが人生であり、一つの没頭が終わったら、次の没頭を探してゲームを切り替えていく必要があるのだと思います。