杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

モーリス・センダックの絵本

『まどのそとの そのまたむこう』

大江健三郎『取り替え子』(講談社文庫、2004年)の「終章 モーリス・センダックの絵本」は、古義人の妻の千樫が、古義人がドイツに行くのに使った大型トランクの中にモーリス・センダックの絵本を見つけるところから始まります。

本は二冊あり、一つは“Outside Over There”、もう一つは“Changelings”です。小説では、絵本の中の絵をけっこう克明に描写しているので、割と簡単に調べられそうだと思いました。

で、調べてみたところ、これは日本では『まどのそとの そのまたむこう』という題で福音館書店から出ていて、今は新訳が『父さんが かえる 日まで』というタイトルで偕成社から出ているようです。

センダックというと、やはり『かいじゅうたちのいるところ』が印象深いですが、私は読んだことがありません。ただ、本屋や図書館でよく見かけるので覚えていました。

大江の『取り替え子』は、かなり私小説的なつくりになっている小説だと思います。当然のことながら、これは色んな意味で大江にして初めて成し得る小説ですね。とにかく、すばらしい。

次は『水死』が読みたいなあ。