杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

『図説 世界の水中遺跡』

テキストを超える写真の力

木村淳・小野林太郎編著『図説 世界の水中遺跡』(グラフィック社、2022年)は、文字通り水底の遺跡や海底から引き揚げられた物品から、それが沈んだ時代の暮らしや社会を紐解く本です。

写真が迫力があり、読んで面白く見て楽しい一冊になっていると思います。

水中から見つかった古代の道具として有名な物というと「アンティキティラ島の機械」が思い浮かびますが、水底というのは、今も歴史のロマンが当時の姿をとどめて眠っている数少ない場所なのですね。

本書の内容から逸れてしまいましたが、こういう本の面白さは、やはりその豊富な図版によるビジュアルのダイナミックさにあると思います。岩波書店の『地球全史』(2012年)も面白かったですが、そのように、写真の力は往々にしてテキストよりも対象のことをよく物語るもの。

小理屈をこねてしまいましたが、今後もこういう本を見つけたら、つい手を伸ばしてしまうだろうと思います…。