杉本純のブログ

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「介護はクリエイティブ」

カッコいいとか、イケてるとかじゃない

先日、福祉業界の方と話をする機会があり、その方が会話の中で「介護はクリエイティブだと思う」と言っていました。我が意を得たり、でしたね。

介護=クリエイティブについては、このブログで過去に書いたことがあります。その時は「ねほりんぱほりん」で見た介護士のエピソードを書きましたが、その介護士も、先日お会いした方と同じように「介護はクリエイティブだ」と言っていました。

私はいわゆるクリエイター業界で働いていますが、その業界で働いている人がつねにクリエイティブな仕事をしているとは限りません。クリエイターはややもすると、ひねりをきかせたキャッチコピーとか、「エモ文体(私はこの言葉が好きではありません)」の文章とか、かっこいいデザインとかを作りたがりますが、私はそういうものをクリエイティブだとは思っていません。

私はあるデザイナーが、キレイな見映えのいいデザインをつくったものの、文字があまりに小さく、クライアントから呆れられていたのを見たことがあります。修正指示を受けたそのデザイナーは、クライアントはわかってねえなぁ、といった具合に不貞腐れ、しぶしぶ修正していましたが、私は、ああこいつはただアーティストぶってるだけだな、クリエイターではないな、と思ったものです。

思うに、クリエイティブというのは、関係者たち皆が得をする、丸く収まる、笑顔になれるような仕組みを作ることです。もちろん万人が笑顔になれる仕組みなどありません。しかし上述のような介護の世界の、施設の入居者とヘルパーなど限られた、同じ思いを持つ者同士の間なら、笑顔になれる仕掛けが作れるかもしれません。

クリエイティブを実行するには、周囲と相手をよく観察し、様々な条件がある中でできることを考え、閃いたことを行動に移すしかなく、うまくいくこともあれば失敗もある。いや、失敗の方が多い。そして、たとえ失敗しても諦めずに考え、行動し続けることで、うまくいく時があるのである。

ついつい説教くさい「だである調」になってしまったが、カッコいいとかイケてるとか、そういうものではないのである。