杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

西馬音内盆踊り

祭について

小川直之監修の『祭 Matsuri』(パイ インターナショナル、2022年)は、日本国内のさまざまな祭を、春夏秋冬ではなくその特徴によって分けて紹介する本です。

判型が1ページがB5より大きくA4より小さい変型で、もちろん日本の祭を網羅したわけではありませんが、写真がダイナミックで美しく、見応えのある一冊になっています。

祭というと、私は幼時から地元の団地の盆踊りや桜祭りくらいしかまともに行ったことがなく、あまり馴染みがありません。今の地元はもともと農村地帯で、五穀豊穣を願う「田遊び」が伝統芸能として保存・継承されていますが、参加したことはありません。とはいえ、ああいう地元行事に参加する人たちに対し、一抹の憧れがあります。

私は無神論者ではありますが、こういう、信仰に基づく文化的な営為というのは大事だと思っています。特に最近は、人間の生活は放っておけばいくらでも無秩序になり、乱れていくもので、人としてきちんと生きていくにはその中に何らかの句読点を打つのが大事なのではないかと考えていて、祭というのはとても良いコンテンツじゃないかと思っているほどです。

佐伯一麦「ミチノオク」に出てくる

さて、本書の「踊る、演じる」という章の中に「西馬音内盆踊り」があります。

秋田県雄勝郡羽後町に伝わる盆踊りで、盆の三日間にわたって篝火を囲んで踊る輪踊りです。国の重要無形民俗文化財に指定されています。

これは佐伯一麦が「新潮」で不定期連載中の小説「ミチノオク」の第一回に出てきた祭です。小説を読んだ時は祭の様子は想像するだけでしたが(検索などはしませんでした)、写真を見るとイメージが具体的になってきます。ああこういう祭だったのかと。

私は「ミチノオク」は第四回「大年寺山」まで読んでおり、第五回「黄金山」がまだです。雑誌は手元にあるので、そろそろ読みます。

祭 Matsuri

祭 Matsuri

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