杉本純のブログ

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言葉には敏感。でも話すのは苦手

HSPの特徴

エレイン・アーロン著、冨田香里訳『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』は、HSP(とても敏感な人)が社会でうまく生き、人生を切り開けるよう助言する本です。HSPに関する本はこれまで何冊も読んできましたが、それらの嚆矢と思われる本書は、類書の中でもとりわけ得るものが多いように感じます。

本書によると、世の中にはHSPよりも非HSPの方が多く、HSPは弱虫や泣き虫などのレッテルを貼られやすい傾向があります。しかしアーロンは第一章「敏感すぎるとは、どういうことか?」で、HSPの敏感さは特別な資質であり、それにより多くの能力を発揮することができ、社会や文明を形成し、維持していく上で重要であることを述べています。

一方で、そうした特徴はマイナスに働くこともあると付け加えています。

 私たちHSPはいろいろな能力に恵まれているのだが、監視されたり、時間を測られたり、評価されたりすると、うまくいかなくなってしまう。HSPは一見ノロマに見えるかもしれないが、時間をかければ、他の人たちよりも深く理解し記憶することができる。そういった点でHSPは語学学習に長けていると言えるだろう。ただ、神経が高ぶりやすいので、話すことはそれほどうまくないかもしれない。

偉くもないし、可哀相でもない。

アーロンの言っていることと直接関係ありませんが、言葉に対する鋭敏さや、高い理解力と記憶力があり、その一方で話すのが苦手であるということは、私自身も日常生活や仕事の中で痛感していることです。

人が日本語を誤用するとすぐに察知してしまい、話している中でも文法の誤りにすぐ気がついてしまいます。しかし、それをいちいち指摘していたら会話が成立しないので、誤用はスルーして大意を摑むようにしています。それは恐らく誰でも同じであり、ごく自然に行っていることと思いますが、人の誤用がいつまでも気になってしまい、正すとしたらこういった話し方になるだろう、といったことまで考えてしまう。言葉を正しく使うことには深く心を砕く方で、語源も含めた意味の理解には余念がないつもりです。

一方で、自分が会話の中でそれを実践できているのかというと心許なく、誤用や文法の逸脱、言い間違いは絶えません(文章を書いていてもよくあります)。だから私自身、他のHSPからは言葉に鈍感な奴だと思われているかもしれない。

しかも、自分が言葉を誤ったことにすぐに気がついてしまい、しどろもどろになってしまうことも少なくありません。混乱して思ってもないことや言わなくてもいいことを言ってしまったり、爆弾発言をしてしまったりすることも、稀にではありますがあります。

なんともはや、HSPは因果な気質だと思います。しかし、その気質ゆえにいろんな利点があるのも事実。HSPであるからといって、偉いわけではないし、可哀相に思われるべきでもない。HSPの人は自分にそういう気質があることを理解し、うまく生きていくのが大切でしょう。それは、アーロンが本書で伝えていることでもあります。