杉本純のブログ

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会社にすがらざるを得ない人生

怪物との生々しいやり取り

Eテレねほりんぱほりん」を欠かさず見ています。前回(2/25)は元大手企業の「リストラ担当者」が2名登場し、社員に退職を勧告する際のエピソードが紹介されました。人事担当者と社員たちのやり取りは、喧嘩もあれば自殺もあり、生々しくて壮絶です。

会社とは、人間という労働力を食らい、その成果を栄養にして大きくなっていく怪物です。その怪物は、自分の体が不健康になってくると、未来の生存が危うくなるため贅肉を削ぎ落とさなくてはなりません。その贅肉とは、建物や設備の場合もあれば、人件費を毎月吸い取っていく社員である場合ももちろんあるわけです。

けれども今の法律では会社の都合で一方的に社員を解雇することはできないため、退職を勧告することになります。もちろん、社員にとって会社という存在は、生活と人生を支えるための大切な収入源でもありますから、退職を迫られれば多くの場合、困るでしょう。それで今回紹介されたような生々しいやり取りが生まれるわけです。

東京ならいざしらず…

私はこういう場面に遭遇したことがなく、当事者の気持ちは分かりません。ただ思ったのは、「会社にすがらざるを得ない人生」というのがあるのだな、ということ。

東京ならいざしらず、地方都市の小さな町などでは、そこに立地している企業や工場の存在が大きく、そこがなくなったらリアルに次の日からの仕事がなくなって困る、という人がいるはずです。

イデアと創意工夫で自分の事業をつくれればいいでしょうけれど、それができる人ばかりではありません。良い悪いは別として、人生と生活のベースが、ある一つの企業によって支えられる、ということは現実にあることなのでしょう。