杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

心を亡くす

「忙」の字はりっしんべんに「亡」と書くので、つまり「心」を「亡くす」という意味だと、過去に何度か聞いたことがある。要するに、あまりに忙しいと「心ここにあらず」の状態になってしまい物事に落ち着いて取り組むことができなくなり、その結果、同僚はもちろん、友人や家族にも素っ気ない態度を取ってしまい、良いことが一つもない、といったことだ。

「忙」という字の語源は知らないし、そのような解釈の仕方は「人間は人の間と書く」式の凡庸さを感じるのであまり好きにもなれない。とはいえ、たしかに人間、あまりに忙しいとそんな風になってしまうだろう。

私自身、公私ともにけっこうやることが多く、自分がどこかへ行ってしまったように落ち着かいことが多い。だから最近は、仕事も生活もとにかく簡素に、シンプルにしたいと思うようになった。マーク・ザッカーバーグがたしか、いつも緑のTシャツを着るのは決断の回数を減らすため、といったことを言っていた。それと似ているかもしれない。まあ私は大企業のCEOではないけれど、仕事でも生活でも扱う情報の量が増え、ツールも多様化した。こうなるともう昼間はずっと情報に取り巻かれて頭がフル回転状態で、物をじっくり考える余裕もなく、たくさんのことを決めなくてはならない。こうなると人間は自分というものを確認できないくらい「忙しい」、つまり心を亡くしている状態と言えるかもしれない。気をつけたい。