杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

モノが動いて話が進む

近ごろ『ナニワ金融道』を再読している。前に読んだ時よりめちゃくちゃ面白い。というより、以前の私はお金の教養が低く、この漫画の世界の奥行きをきちんと感じられなかったんだと思う。

文庫版の第一巻で、灰原が、最初は桑田に教わって仕事を覚えるが、社長の思惑もあって桑田から突き放され独り立ちしていくところ、面白い。役所の職員と裏取引をして、お金に困っていそうな住民の情報をもらうところとか(今では絶対に無理だろうが)、それまで教育係だった桑田が汗を垂らしながら見ていて、灰原の独創性?と成長を物語っている。

お金に関する事物がどう動くかが、ストーリーのポイントになっていて、小説などのストーリーを組む上でも勉強になる。心ではなくモノが動くことによって話が進行するのである。私はこの漫画を読んで、自分は主人公の心情の動きにばかり焦点を当てて小説を書いていたことがわかった。