杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

あまのじゃく反応

西脇俊二『繊細な人が快適に暮らすための習慣』(KADOKAWA、2020年)を読んだ。「繊細さん」が話題な中、HSPについて書かれた本が多く出ているが、これもその一環で出た本だろうか。

繊細な人が傷ついたり疲れたりしないようにする「習慣」について書かれた本。語り口は柔らかく、内容は分かりやすい。実生活や仕事で使えそうなものもあり、試してみようかなぁなどと思っている。

この本では、「エクスポージャー不安(曝露不安)」と呼ばれる、普段は見せていない部分を人に見せること(曝露)に対し覚える不安を紹介している。そして、掃除が行き届いていない自宅を他人に見せることをためらうのもエクスポージャー不安であるとして、それが高じてしまうと困った現象が起きる、と書いている。

その一つに「あまのじゃく反応」というのがあり、「男の子が好きな子にひどい態度をとってしまう、あの現象」と書かれている。私は女の子に対してだけでなく、こういう、自分の思いとは逆の極端な態度を取ってしまったことが過去に何度もあって、ああ俺は「あまのじゃく反応」をとっていたな、と思った。

店で商品を探していて、ぜんぜん見つからなくて店員に教えてほしいのに教えてもらわず自力で探そうとする。人に意見を求められ、私に期待されていることが分かっているのに期待に反する(嫌われる)ことを言う。などなどである。

これは、もちろん私もそうしたくてしているわけではない。だが、やってしまうと自分の心の部屋の奥を覗かれるような、大事な何かを奪われるのではないかという不安は、対人関係の中でしばしばある。コミュニケーション能力が高い(と私が思っている)人は、進んで自分の部屋を晒し、大事なものを人に差し出しているとさえ思うことがあり、羨ましいというか、すごいと思うのである。私自身、この自分の癖をどうにかしたいと思うが、なかなか難しい。

本書では、他人に期待せず、自分にも期待せず、ハードルを下げて一つひとつ越えていくことなどが説かれている。