杉本純のブログ

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作家の死後の評価

ある作家がTwitterで、自分が死んだら作品の価値が上がるから残った家族の心配はしていない、などと書いていて、首を傾げた。

新藤兼人の映画『濹東綺譚』に、永井荷風に対し、あなたも芥川のように自殺しなさい、と説教してくる人が出ていたと記憶するが、ただ死ぬのではなく自殺であればその作家の価値が上がるということは事実としてあるかも知れない。芥川とか太宰とか。だが自殺せず長く生きて病死などしていたら今ほどの人気はなかったかというと、それは確かめようがない。

作家の訃報にはちょくちょく接するが、その後、追悼コーナーを設ける書店はそほれど多くないという印象である。追悼企画をすれば売れ行きが伸びるのは、まあ少しはあるのかも知れない。しかし、それでその先長く家族を食べさせられるなどと考えるのは無理があるだろう。