杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

演劇人ワナビの話

学生時代に書いた手書きのシナリオの書籍化に取り組んでいる。ペラ250枚ほどの作品なので、映像化したら単純計算で2時間以上の大作になる。

「東京放浪記」というタイトルで、このブログで公開すると二年ほど前に告知したきり、忘れてしまっていた。まあ公開を楽しみにしていた読者などいないだろうが、このたび、諸般の事情から書籍化に着手した。いきなり250枚分も打ち込めないので、毎日少しずつ打ち込んでいる。

内容は、以前もこのブログに書いたが、名古屋大学の受験に失敗した高校生が、演劇の夢を追うために家出して上京し、やがてホームレスになってしまい、母親がそこに訪ねてくる…という話。以前、読み返した時はそのあまりの稚拙さに啞然とし、やがて失笑した。

言うなれば演劇人ワナビの話で、私は学生時代から色んな作品を書いているが、ずっとワナビの話を書き続けている。となるともうこれは一つの大きなテーマになっていると言えるかも知れない。そのテーマは、「夢と釣り合わない惨めな現実の苦しみと闘い」とでもいったところだ。思えばバルザックの小説群も、絶対的なものを探求するものの決してそれを獲得できない、といった話が多く、一人の書き手が書く作品群はテーマが似通ってくるのかも知れないな、などと考えている。

書籍化完了と発表までは、もうちょっと時間がかかりそう。