杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

やめてみる

わたなべぽん『やめてみた。』(幻冬舎、2016年)が面白い。というより、私のような人間にはけっこうためになる。たしか、ビジネス書か自己啓発書の類いをアマゾンで見ていた時に、その本を買った人は他にこんな本を買った、という紹介の中に出てきて、興味を持ったのである。

文字通り、生活の中のあらゆる悪い習慣を「やめてみ」る話(漫画)で、結果として精神的に解放されて生活が楽しくなる、というもの。良くない習慣一つをやめる過程に短篇一回を費やしており、オムニバス形式なのだが一回ずつがつながっている。

やめるのは、どうしても続けなくてはならないことではないのに自身のこだわりや癖ゆえに続けてしまっていたことで、それでストレスが溜まったり、忙しくなったり、体調を悪くすることにもなってしまったりしている。テレビ、スマホ、掃除、メイク(主人公は女性)などの他、振り回されて疲れてしまう友人との関係も描かれている。

この主人公は漫画家の分身だが、どちらかというと、生活にも人生にもそんなにこだわりが強くない、受け身型の大人しい人なのだと思う(そういうキャラ設定にしているのかも知れないが)。いずれにせよ、どうしても続けたい、夢中になるくらい好きなことでない限りは、生活の中でほどほどにやっていれば良いはずで、だいたいこだわりや癖などというのはそういうものだろう。私も、人間関係や生活習慣のこだわりをずいぶんやめたが、それで困ったことはあまり無い。

こうまであれもこれもやめてしまったら、人はいずれ仏陀のようになってしまうのではないかと思うが、やめると創造的になれるというメリットもある。どうしてもやめられないならやめなくても良いのだろうが、続けていて苦しいならやめない理由もない。まぁその人次第か。