杉本純のブログ

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菊池真理子『毒親サバイバル』

最近、「毒親」という言葉がひどく気になっていて、それをテーマにした小説を考えているところである。その小説とは、毒親が大学闘争の時代に青春を過ごした人で、その子である主人公が膨大な読書と調査と思索をしつつ親と熾烈な戦いを繰り広げる話である。

話が逸れたが、そんなことがある中、「毒親」に関していろいろ知りたいと思い、菊池真理子毒親サバイバル』(KADOKAWA、2018年)を手に取った。これは、著者であるマンガ家・菊池真理子をはじめとした11名の「毒親体験」をマンガ化したもの。

マンガということもあり、リアリティはかなり薄められているのだが、こんなことが親子間で実際に行われていたのか…と嘆息させられる。ここに出てくる毒親たちは、残虐な悪人、という言葉は当てはまらず、どちらかというと心が弱いのだろう。優れた能力を持ち社会的地位が高い人もいるが、押し並べて、壊れやすい人だと思った。

この本は視点を子供に置き、タイトルの通り、毒親とのサバイバルをどう生きてきたかを中心に話を展開している。おそらく毒親自身も、自分の親との壮絶なサバイバルを経験したか、耐え難い苦痛を味わった果てに毒を持つようになってしまったのだろうが、この本ではそこまでは追及していない。というより、主旨が違う(毒親そのものについては臨床心理士信田さよ子による巻末の解説に少し載っているが)。

この本のことを考えていたら、映画『愛を乞う人』を思い出した。