杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

中学受験

AERA with Kids」2019春号(増大号)の、算数教育家・中学受験専門カウンセラー・安浪京子の「中学受験レボリューション」は、育児・教育ジャーナリスト・おおたとしまさとの対談である。テーマは「わが家はどうする?改めて考えたい中学受験するメリット、しないメリット」で、文字通り我が子に中学受験をさせることの良い面とそうでない面を語り合うものだ。読んで、いろいろと考えさせられた。というのは、昔の自分が体験した受験を思い返し、当時の私と周囲の同級生たちの気持ち、その親の思惑、そして私と同級生たちのその後の人生がどうなったか、までも考えたのだ。

受験というのは、良くも悪くも子供にとって大きなストレスなのだろう。それを乗り越えて自信に変える子もいれば、挫折して自己否定に陥ってしまう子もいる。親は自分なりの愛の結果、我が子に受験をさせるわけだが、それが子への愛ではなく自己愛である場合もあり、そうなると問題がややこしくなる。また、当人が受験という競争に向いているかどうかの相性もあるだろうし、タイミングの問題もあるのだろう。とにかく話は単純ではない。

私の周囲の人には中学受験をした人もいたが、受験せず公立中学へ進み高校受験をして東大に入った人もいる。中学受験をした人がその後どうなったのかは知らないのだが、現在、私の周囲にいる人の中には東大をはじめ国立大を出た人もいれば有名私立を出た人もいる。そんなに良い大学でなくても出世している人もいれば、かなり良い大学を出たのにあまりパッとせず…という人もいる。

私は受験にはあまり…いやぜんぜん熱心ではなかったが、昔から好奇心は強い方だ。映画を志して勉強したい気持ちが出てきてからは、誰に言われるともなく本を読み、知識の吸収に貪欲になっただけでなく、それをまとまった形にすることに力を注ぐようになった。それは辛くとも楽しいもので、いくばくかの自信を育み、生活を楽しいものに変えてくれた(学力のコンプレックスが消えたわけではない)。

勉強は、自分の人生を豊かにするために必要なものだと思うが、親をはじめ、他人からやらされたら苦痛でしかない。勉強とは努力であり、他人から言われてやるものではないのである。しかし、子供にそれに気づかせるのは簡単ではないと思う。