杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

one of themでもいい

one of themは「その中の一つ」「大勢の中の一人」という意味で、ビジネスの場で批判的に用いられるのをしばしば眼にする。新しい商品やサービスを生み出そうとする時、それは他社では出していないものにしなくてはならず、どこでも出しているようなものならone of themに過ぎず意味がない、ということである。

商品やサービスを考えるならそういう思考の方が良いと思うが、自分自身に対しそういう考えを持っていると、心身をすり減らしてしまうような気がする。

というのは、自分が他人とは違わないといけない、ユニークな存在でなくてはならない、などと思い続けていると、やがて自意識過剰になってしまうからだ。よくそのように考えてしまうのがワナビである。ワナビは、作家になるとか俳優になるとかいう目標が、優れた作品を書くとか演技力を磨くとかではなく、単に一般からは抜きん出たユニークな人になる、という肥大したセルフイメージと結びついている。そのセルフイメージと現実とのギャップに苦しみながらも、セルフイメージを捨てられず、肝心の作品や演技を磨くことがなかなかできない。世のこじらせワナビはたいていその図式にはまって苦しんでいると思う。私もだ。

one of themでもいいじゃないか。

自分自身はone of themでいいから、作品の方を抜きん出たものにするよう努力したらいいと思う。